春節が引き起こす「3つの停滞」とその深層リスク

豆知識コーナー 2026年1月23日

中国輸入ビジネスにおいて、春節は単なる「長期休暇」ではありません。サプライチェーン全体が完全に断絶する、年間で最大の警戒ポイントです。ここでは、春節が引き起こす停滞の具体的な中身と、それがビジネスに与える深刻な影響を詳しく解説します。

1. 工場の完全停止:生産ラインの消滅と「職人失踪」リスク

中国の製造業を支える作業員の多くは、年に一度のこの時期に、数千キロ離れた故郷へ帰省します。

  • 長期的な機能不全: 多くの工場では、法定休日よりもかなり早い段階(春節の1〜2週間前)から帰省が始まり、現場は空になります。この間、機械は止まり、在庫の確認や急ぎの修正、発送連絡といったすべてのコミュニケーションが途絶えます。
  • 「ワーカーが戻らない」問題: 最も恐ろしいのは春節明けです。帰省した作業員がそのまま地元で別の仕事を見つけ、工場に戻ってこないケースが多々あります。これにより、連休明けに生産ラインが組めず、納期がさらに1ヶ月以上遅延したり、不慣れな新人作業員によって商品の品質が著しく低下したりする二次被害が発生します。

2. 物流(国内・国際)のストップ:物流網の麻痺とコストの高騰

中国国内から日本へ届くまでの「道」がすべて塞がります。

  • 中国国内輸送の遮断: 中国全土でトラック運転手や宅配スタッフが一斉に休みに入るため、工場から代行会社の倉庫へ荷物を運ぶことが物理的に不可能になります。「工場に在庫があるから大丈夫」という理屈は通りません。
  • 国際輸送のパニック: 春節直前には「休みの前に発送してしまいたい」という荷主が殺到します。航空便のスペース奪い合いによる運賃の急騰(通常の数倍になることも)や、船便の「コンテナ不足」「積み残し」が常態化します。この時期に無理に発送しようとすると、コストだけが高騰し、結局日本に届くのは連休明け、という最悪の結果を招きかねません。

3.代行会社・市場の休業:プラットフォーム全体の沈黙

セラーとの連絡断絶: ECサイト上のセラーも、春節期間中は注文ボタンこそ押せても、実務は一切行いません。質問への返信も止まるため、トラブル対応も不可能になります。

代行サービスの停止: 我々のような輸入代行会社も、現地の物流インフラなどが停止するため、検品、梱包など業務を停止せざるを得ません。

「休暇明け」の処理遅延: 休みが明けた瞬間、世界中から溜まっていた注文が一気に押し寄せます。代行会社や物流会社には膨大なバックログ(未処理の荷物)が積み上がり、通常通りのスピードに戻るには、連休明けからさらに2週間程度の時間を要するのが通例です。

春節の停滞は、「カレンダー上の休日」以上に長く、深いものです。